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写真AC:著作権違反事例に関するメモ

写真AC:著作権違反事例に関するメモ

これまでも著作権に関して怪しい動きがありましたが、今回はかなりシビアな問題が発生したみたいですね。写真ACにおける著作権関連の過去の動きに関しては、下の記事もご覧ください。

 

1.著作権違反の指摘

具体的な著作権者の名前が表に出てきたのは、今回が初めてでしょうか。筆者が写真ACに触れてからは初めてだと思います。

公表されてからすでに日にちが経過していますが、木村英智氏のアートアクアリウム作品に関する写真について、権利者から著作権違反の指摘があったとのことです。

何名の投稿者の何点の作品が指摘対象となり、公開停止されたのか。気になるところなのですが、そのあたりの数字は公開されていませんね。あらためて著作権違反に関する連絡フォームがお知らせで周知されたり、写真投稿時に著作権に関する確認画面が挿入されたり、写真AC運営が改善を図ろうとする雰囲気は感じられます。写真の撮影技法のレクチャーも大事ですけど、著作権意識の勉強会的なものを開いたりするのもいいんじゃないですかね。

しかし、今回の著作権問題はなぜ発生したのでしょうか。アートアクアリウム作品っていかにもアウトっぽい案件だと思うのですが。

 

2.アートアクアリウムをどのように理解するか

美術品の著作権がガチガチに守られているのは分かる話のはず。有名絵画のレプリカを無断無許可で販売すれば当然問題になることはわかるはず。今回著作権の問題が起きた理由は、単なる浅慮のせいかもしれませんが、アートアクアリウムという芸術の価値が軽視された結果のような気もします。客観的に見れば、アートアクアリウムをメシのタネにしている権利者がいることは容易に分かるわけで、危険な行為であると予想できそうなものです。そこで推測できることのひとつは、投稿者はアートアクアリウムを芸術作品ではなく、水族館での撮影と同じように考えたのではないかということ。

水族館や動物園で撮影した写真を商用利用してもいいのかどうかは判断が難しいところです。まず、動物には(今の時点では)肖像権はありません。写真の著作権は、当然撮影者にあります。ここで問題になるのは物の「パブリシティ権」です。

パブリシティ権の詳細な説明はここでは割愛します。これは著作権ではないので本件の問題には関係ないからです。触れるべきことがあるとすれば、パブリシティ権の問題を避けるためにも商用利用許諾は推奨されます。ただ無許可でも完全ブラックというわけではなく、いわばグレーですね。(=動物は著作物ではなく、写真の権利者は撮影者。公共の場で動物=法律上は「物」でしかないものを撮影しているだけ。パブリシティ権については法制度上確立した存在とは言い難い。ただし、繰り返しになりますが、社会常識としては利用許諾を得るべきだと思いますよ!

一方、本件のアートアクアリウムは、水族館の水槽とイコールな存在ではなく、独自の美術品(著作物)として認められているのであれば著作権上で保護される存在となり、やはりまずいことになりますね。むりやり法的に争うなら、対象物が美術品として認められるかどうかを争うのでしょうが、個人的には無理ゲー(=アートアクアリウムは美術品)だと思います。

見当外れかもしれませんが「アート」には著作権があるという構図は容易に想像できるので、触らぬ神に祟りなし、アート風のモノは投稿を控えたほうが賢明でしょう。

 

3.その他のメモ

連絡フォームからの通報を推奨しているようですが、ユーザーに著作権違反を申告させたいなら、1件につき0.1ポイントでもいいから付与してあげるような仕組みが必要じゃないでしょうか。誰も好き好んでタダ働きはしないでしょう。可能性があるとしたら有力クリエイターへの嫉妬とか、不正が疑われるクリエイターへの嫌がらせ程度のものであって、あんまり前向きな事態にはならないと思います。

とりあえずメモはここまで。今後どのような事態につながるか注視したいですね。