写真AC雑記帳

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写真AC:意図を感じる写真ACの動き/投げ銭と会員数と海外版

写真AC:意図を感じる写真ACの動き/投げ銭と会員数と海外版

写真ACの「お知らせ」などでいろいろ情報が出ていますが、写真ACの海外版サイトを公開するようですね。総会員数の伸びが頭打ちになる前に早々次の手を打つのは良い動きだと思います。このところの写真AC運営の動きを見ていると、ある方向へ向けて一貫性のある取り組みをしているように感じます。写真ACの最近の動きを振り返ってみましょう。

動き1:2017.10.11~投げ銭~中国で流行するギフティング

10月11日付のクリエイターマガジン(メルマガ)で投げ銭の紹介がありました。これが直近の写真ACの動きで起点となるものです。

過去の記事で少し触れましたが、ギフティングは中国で大流行していますね。ただしそちらはライブ配信主体のニュービジネスであり、ストックフォトに馴染むかどうかは未知数ではないかと思いました。しかしこのあとの写真ACが海外版サイトの公開を発表するわけで、まさに中国も射程圏内に入れてのギフティング導入だった可能性が高いですね。

 

動き2:2017.10.20~和の写真コンテストの開催

10月20日付のクリエイターマガジン(メルマガ)で第4回コンテストの開催通知がありました。まだこの時点では、海外版公開のあらためての周知はありません。*1

海外へ向けて日本のクリエイターたちが発信する価値のある情報。そういう目線で考えるとコンテストのテーマが「和の写真」であることも納得がいくものです。日本ならではの被写体こそストックフォト市場で利用価値が高いという判断でしょう。ただ純和風のものだけでなく、女子高生の制服とかいかにもオタクな素材なんてのも「日本的」で需要がありそうなものに思えます。「和風」だけでなく「クールジャパン」を掲げても面白かったのでは。いまさらながらのクールジャパンは、少々陳腐かもしれませんが。

  

動き3:2017.10.27~会員数の発表~だいたい半年で50万人増加

会員数についてすぐに確認が取れる数字が以下のふたつでした。

  • 2017.02.28  220万人突破(200万+その他サイトの会員20万人)
  • 2017.10.27  270万人突破

過去の記事を漁ると、第2回コンテスト(2016年10月)の時期で70万人という数字が出てきます。220万人と比べるとあまりにもギャップが大きいので、写真ACのみの利用者数が70万人なのかもしれません。仮に2016.10時点で会員数が70万人だったとしたら、一時爆発的にユーザー数が増えて徐々に鈍化しつつある状況だと考えられるため、続く一手が欲しくなるでしょう。ユーザーの母数はストックフォト全体の収益性と直結するでしょうから、海外進出は必然と言うべきかも。来年2月ごろの会員数は、今後の写真ACの行く末を考えるうえで要注目です。会員増加数が50万人を超えてワールドワイド的な成長を遂げれば、後発クリエイターにとっても更なる増収チャンスの訪れと考えられるでしょう。

 

動き4:2017.11.8~海外展開(多言語化)の周知

この日付で海外版(多言語化)展開に関する周知がなされています。海外版サイトでのダウンロードは、しばらく報酬が発生しない形で行われるため、公開するかどうかクリエイター側で決定できるようになっています。

写真ACの収益構造は不明ですが、有料会員が増えないと話にならないでしょうから、海外でも有料会員を確保できるか試してみる必要があるのだと思います。しかしまずは無料公開となれば不満を持つクリエイターも当然出るでしょう。

そこで従来の報酬の代わりにビットコインによる投げ銭を導入したり、海外向け素材を充実させ海外からのダウンロード増加を引き出すために和の写真コンテストを開催し、会員数こそがストックフォトの収益性を支えるものであることを改めて周知し、クリエイターに無償でもいいから海外公開に応じよう!と思わせるようにあれこれ準備してきたのではないか。筆者はそう考えますし、そういう作戦のある企業のほうが将来性を感じます。

現実問題として、ダウンロード数が多い写真は更にダウンロードされやすくなるという資本主義経済の縮図のような現象が見られますので、海外版公開には応じておいたほうがよいだろうと思います。海外で人気が出たものが日本国内に逆輸入されるなんて、よく聞くような話じゃありませんか。目先のダウンロード数さえ稼げれば、最終的には更なるダウンロード数の増加という結果がついてくるはず。

今後の写真ACの一手に、改めて注目です。

*1:過去にもグローバル展開への意欲を示す文章はありますが、リリース決定!のような内容ではありません